竹久夢二展と楽しむ秋の東京散歩|美術館と贅沢ランチで過ごす大人の休日
秋の休日、いつもより少しだけ贅沢な時間を過ごしてみませんか。
美術館で好きな作品をじっくり鑑賞して、おいしいランチを楽しむ。
あれもこれもと予定を詰め込まず、一つの展覧会を心ゆくまで味わう。そんな休日も素敵だと思います。
今回ご紹介するのは、東京国立近代美術館で2026年10月23日から開催される「竹久夢二 時代を創る表現者」。
大正ロマンを象徴する画家・竹久夢二の世界をたっぷり楽しめる展覧会です。
なかでも注目したいのは、約40年ぶりに展覧会へ出品される代表作《黒船屋》。
鑑賞したあとは、美術館内のレストランで少し贅沢なランチを。そして、気が向いたら北の丸公園をのんびり散歩するのもよさそうです。
今回は、そんな「自分のための美術館時間」を楽しむ、一日のお出かけプランをご紹介します。
もくじ
竹久夢二展「時代を創る表現者」とは?
竹久夢二(1884〜1934)は、明治から昭和初期にかけて活躍した画家です。
細身の女性を独特の情緒で描いた「夢二式美人」で知られ、大正ロマンを象徴する存在として親しまれてきました。
けれど、夢二の活動は絵画だけにとどまりません。
詩や文章を書き、雑誌の表紙や本の装丁、ポスター、さらには着物や日用品のデザインまで手がけていました。
今回の展覧会では、全国のコレクションから約500点の作品や資料が集結。
画家としてだけでなく、時代の流行や人々の暮らしに影響を与えた、多彩な表現者としての夢二に出会えます。
見どころ① 約40年ぶりに展覧会へ!代表作《黒船屋》

今回の展覧会で、ぜひじっくり鑑賞したいのが《黒船屋》です。
1919年に描かれたこの作品には、うつむいた女性と、その胸に抱かれた一匹の黒猫が描かれています。
どこか物憂げな女性の表情と、独特の曲線が印象的な作品です。
けれど、この絵の魅力は、人物や猫の表情だけではありません。
実は、画面全体の構図にも注目してほしい作品なのです。
絵を見る楽しさは、謎解きに似ている
絵を見ることは、ちょっとした謎解きに似ています。
一見すると、女性と黒猫を描いた一枚の絵。
でも、そこには画面全体を美しく見せるための、さまざまな仕掛けが隠されています。
《黒船屋》を見るとき、まず注目してほしいのが「黒の流れ」です。
女性の黒髪、黒猫、そして下駄の黒。
黒い部分を目で追っていくと、女性の身体の曲線と黒猫の姿が呼応し、画面に一つの流れを生み出しているように見えます。
さらに、女性が腰掛けている箱にも注目してみてください。
柔らかな曲線を描く女性や黒猫に対して、箱に使われた黒い直線が画面を引き締め、全体を支えているように感じられます。
黒猫も、単にかわいらしい動物として描かれているだけではありません。
構図という視点で眺めると、黒の流れを作り出す、大黒柱のような存在にも思えてきます。
実際の猫の自然な姿勢とは少し違って見えるかもしれません。
でも、この絵の中では、その形だからこそ生まれる美しさがあるのではないでしょうか。
縦長の画面だからこそ生まれる美しさ
そして、もう一つ注目したいのが、《黒船屋》の独特な縦長の画面です。
日本の掛軸や浮世絵には、細長い画面を生かした作品が数多くあります。
西洋絵画にも縦長の作品はありますが、日本美術の細長い画面には、また違った構図の面白さがあります。
《黒船屋》も、そんな縦長の空間を巧みに生かした作品として楽しめます。
限られた幅の中に収められた女性と黒猫。
女性の身体が描く柔らかな曲線と、それに呼応する黒猫の姿。
そして、流れるような曲線を受け止める箱の直線。
それぞれが関係し合うことで、細長い画面の中に美しいまとまりが生まれています。
もし、この絵が横長の画面だったら、同じ印象になったでしょうか。
縦長の画面だからこそ生まれる緊張感と、絶妙なバランス。
《黒船屋》の魅力は、描かれた女性や黒猫だけでなく、画面そのものの形と構図が一体になっているところにもあるように思います。
構図がわかると、絵はもっと面白くなる
構図というと、なんだか難しそうに感じるかもしれません。
でも、まずは絵の中にある線や色の流れを追いかけるだけでも十分です。
「なぜ、ここに猫がいるんだろう?」
「どうして、この部分だけ黒いんだろう?」
そんなふうに眺めていると、今まで気づかなかった絵の仕組みが見えてくることがあります。
難しい美術用語を知らなくても大丈夫。
黒い部分を指でなぞるように、目で追ってみてください。
そして、少し離れた場所から画面全体を眺めてみる。
きっと《黒船屋》の新しい魅力を発見できるはずです。
見どころ② 美人画だけじゃない!夢二のデザインの世界
竹久夢二といえば、独特の女性像を思い浮かべる方も多いでしょう。
でも、夢二は現代でいうグラフィックデザイナーのような仕事も数多く手がけていました。
本の装丁、雑誌の表紙、楽譜、ポスター、千代紙、手拭い、浴衣など。
そのデザインには、どこか懐かしく、それでいて今見ても新鮮な魅力があります。
美術館で鑑賞する絵画だけでなく、人々の日常生活の中にも美しさを届けていた夢二。
今回の展覧会では、そんな幅広い活動にも注目したいところです。
美術鑑賞のあとは「ラー・エ・ミクニ」で贅沢ランチ
竹久夢二の世界をじっくり楽しんだあとは、少し贅沢なランチはいかがでしょうか。
おすすめは、東京国立近代美術館内にあるレストラン「ラー・エ・ミクニ」。
三國清三シェフがプロデュースする、フレンチとイタリアンを融合させたレストランです。
季節の食材を使ったコース料理が用意されており、美術鑑賞の余韻を楽しみながら食事ができそうです。
おすすめは4,800円のランチコース
「メニュー ディ ピッコロ」は4,800円(税込・サービス料込)。
前菜、選べるパスタ、魚料理または肉料理、デザート、食後のコーヒーまたは紅茶、小菓子まで楽しめるコースです。
せっかくのお出かけなら、ランチもちょっと特別に。
お気に入りの作品を思い返しながら、おいしい料理をゆっくり味わう。
そんな時間も、美術館巡りの楽しみのひとつです。
ただし、今回紹介するランチコースは90分制で、レストランの営業時間も決まっています。
鑑賞時間を優先したい方は、予約時間に追われないよう余裕を持って計画するか、当日の空席状況を確認して利用するのも一案です。
予約なしでは入れない場合もあるため、レストランを必ず利用したい場合は、事前予約がおすすめです。
※メニューや価格、営業時間は変更される場合があります。お出かけ前に公式サイトをご確認ください。
食後は北の丸公園で、のんびり秋散歩
美術館とランチを楽しんだあとは、近くの北の丸公園を歩いてみるのもおすすめです。
都会の中心にありながら、緑豊かな自然を楽しめる公園。
秋には木々が色づき、季節の移り変わりを感じられます。
もちろん、無理に散歩をする必要はありません。
展覧会をじっくり鑑賞して、ランチを楽しんだら、そのまま帰宅するのも素敵な休日。
大切なのは、予定をこなすことではなく、自分が心地よいと思える時間を過ごすことです。
竹久夢二展の開催情報・アクセス
展覧会名: 竹久夢二 時代を創る表現者
会場: 東京国立近代美術館 1階企画展ギャラリー
会期: 2026年10月23日(金)〜2027年1月11日(月・祝)
前期: 10月23日〜11月23日
後期: 11月25日〜2027年1月11日
※一部作品の展示替えがあります。
開館時間: 10:00〜17:00(金曜・土曜は20:00まで)
※入館は閉館30分前まで。
休館日: 月曜日(11月23日、1月11日は開館)、11月24日、12月28日〜1月1日
観覧料:
- 一般前売券:1,900円
- 一般当日券:2,100円
※前売券の販売は2026年10月22日まで。
アクセス: 東京メトロ東西線「竹橋駅」1b出口から徒歩約3分
お出かけ予算の目安
一般前売券1,900円と、ラー・エ・ミクニのランチコース4,800円を合わせて、6,700円。
当日券の場合は合計6,900円です。
交通費や飲み物の追加注文、グッズ代などは別途必要になります。
おわりに|一つの展覧会を、心ゆくまで楽しむ休日
美術館巡りというと、せっかくだから何館も回りたいと思うこともあります。
でも、今回はあえて一つの展覧会をじっくり楽しむプランにしてみました。
気になる作品の前では立ち止まり、構図や色の使い方を眺めてみる。
鑑賞したあとは、おいしいランチを楽しみながら作品の余韻に浸る。
そんな、時間に追われない休日も贅沢だと思います。
竹久夢二の作品を通して、絵を見る楽しさを再発見する一日。
次の休日は、少しだけ自分のために時間を使って、美術館へ出かけてみませんか。
この秋から冬にかけて、ほかにも気になる展覧会がたくさん開催されます。東京近郊のおすすめ展覧会をまとめた記事も、ぜひお出かけの参考にしてみてください。
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